『伝染歌』を観た(@シネコン)

昨日、用事の合間にちょっと時間があいたので観てきました。観客は中学生以上の若い女子グループやカップル中心に7割ほどの入り(「映画の日」ですから)。


若干ネタバレ。


まあ、話の展開や構成、登場人物の心理描写はかなり酷いことになってるけど(これって、コメディ?)、男優陣に対する演出、ロケ地の選定、古い建造物や幻想的なシーンの撮り方を見る限りにおいては、12月に公開される『魍魎の匣』はかなり期待できそうですね。


AKB48ファン以外の人にとって唯一の見所は、事件解決に乗り出すカストリ雑誌「月刊マサカ」の編集者たちですかね。松田龍平伊勢谷友介もここの編集者として出演しておるわけですが、役者陣の好演・怪演もあって、一人一人のキャラクターがこれ1本でお別れするには惜しいぐらいによく立っています。しかも男優陣のビジュアルが非常にイイ! 「衣装&ヘアメイクさん、GJ!」と声を大にして叫びたいぐらい。もしホラーということで観に行くのを躊躇してる龍平・伊勢谷ファンがいたら、迷わず観に行けと。ほんとにあのビジュアルは萌えるよ〜w。ホラーだけど全然怖くないから大丈夫(ただし作品的にはアレなんで安い時を狙ってね)。特に今回は遊人がイイんですよ。マサカ編集者の一人“モロ”を演じてるんだけど、あれ?って思うぐらい好演しているので、今後原田監督作品以外でも見てみたいッスね。あの中村靖日までもがクールでカッコイイ男へと変貌を遂げていたので、こんな風に男優陣を撮って貰えるなら『魍魎』も期待していいんじゃないでしょうか。


物語とは関係なくシーン単体で見れば好きな箇所はいろいろとあるわけです。トンネルを駆け抜けるシーンだったり、伊勢谷クンが「ホンモノはこっちだ」って拳銃構えるシーンなどはゾクゾクきました。ただ本当に話の筋が酷くてねえ。言いたいことはわかるんだけど、もうちょっとまとめてくれと。非常にまとめかたが雑。


ちなみに、本作を観に行くと、AKB48のライブ会場最前列で「♪あいたかったーあいたかったーあいたかったーYes!」の歌にあわせて“オタ芸”を披露する松田龍平を見ることができます。ごりごりのアイドルと一緒に全力でオタ芸をみせる龍平。これは非常に貴重な映像だと思います(笑)。



それにしても、『伝染歌』って『魍魎』の後に撮影されたにしては、

『魍魎』の映像化がうまくいくかどうか「シミュレーション」したくなった原田眞人監督が、「練習台」として急遽撮らせて貰ったのが『伝染歌』。

としか見えないから不思議だ。阿部寛堀部圭亮池津祥子矢柴俊博と出演者が多数ダブるというのもあるが、幻想シーンでの演出が実相寺(いや、市川崑?)テイストだったり、奇っ怪な事件解決に乗り出したのがカストリ雑誌“マサカ”の一風変わった連中だったり、女子高生どうしのレズっぽい友情を絡めつつ『魍魎』ロケハン中に見つけたとしか思えないような古びた建造物や妖怪(!)まで出してくるもんだから、「『魍魎』が映像化されたら、京極たちはこんな感じでやりとりして、幻想的なシーンはこんな感じで、《黒い箱》の螺旋階段をこんな風に見上げるんだろうな」っていうシミュレーションが観ながら延々とできるわけですよ(笑)。従ってこれから『伝染歌』を観に行かれる方は、まず『魍魎の匣』を読んで、AKB48のプロモーションに徹した退屈な時間はシミュレーションしてやりすごすといいかもしれません。


映画「魍魎の匣」予告編

お!うまいこと静止画は美月ちゃんになってるな。やはり「映像は」期待できそう。問題は脚本か。残念ながら、『魍魎』も『伝染歌』と同じく監督が書いてるんだよなあ(噂によるととある重要部分の設定を大幅に弄ってるとのこと。大丈夫なんだろか)。




とりあえず原田監督にはですね、是非ともチーム“マサカ”の面子を再招集して頂いてですね、彼らが活躍する別の映画を撮ってほしいなと思います(『伝染歌』より前の事件だってことにすれば、死んじゃったあの人も復活できるでしょ?)。ただし「ホラー」はもういいです。