現代に甦れ!『AM3:00の恐怖』

待ちに待った本が届いた。
ウルトラマンAGE (Vol.6) (タツミムック―円谷プロトリビュートマガジン) ウルトラマンAGE (Vol.7) (タツミムック―円谷プロトリビュートマガジン)


なんでウルトラマン? いやいや、実は、DVD『実録!呪われた心霊体験1,2』(これすごく面白い。怪奇ものラジオドラマが好きな人なら絶対オススメ)を見てたら無性にとある番組のことを思い出し、久しぶりに検索したら、なんとまあ! 特集記事が上の2冊に掲載されてるとの情報をゲーーーット!!!(Google、キャッチすんのおせーって)


その番組とは、、、


じゃーん!

センセイ、苦節十八年。ついに、ついにやりました! 念願の画像が見れましたああああ!!!! (感涙) 


『AM3:00の恐怖』*1とは、、、

1987年10月6日から1988年3月31日までの半年間*2、フジテレビの深夜、それも午前3時の真夜中に関東だけで放送されてた5分枠の怪奇番組。夜中の3時ともなれば、リアルタイムで見れる人はごく一部。しかもテレビ欄には「恐怖」の2文字ぐらいしか載らず、今ほどメディアもビデオも普及してない時代、たった5分間の新番組をわざわざ予約録画してまでチェックする人が世の中にどれだけいるのか、そもそもどれぐらいの人がこの番組の存在を認知してたのか怪しい状態。


当時中学生だった私はテレビ欄に書かれていた「恐怖」というタイトルに惹かれ、わざわざ目覚ましセットして3時に起きて見た(その頃既にうちにはビデオがあったはずなのに何故リアルタイムで見てたのかは思い出せない)。以来この番組の虜となり、夜な夜な3時に起きては画面に釘付けの生活が半年続いた・・・と言いたいところだが、実際、そんな生活が続けられるわけもなく、寒いし眠いしでだんだんと起きれなくなり早々に敗退(せめて1話完結だったら話自体もうちょっと覚えていたのに…)。ただ、怖い番組を見るために夜中の3時に起きだして、暗闇の中、家族が起きないよう足音潜めつつ真っ暗な階下へと降りてゆくのは結構な肝試しで(幽霊も怖いが親にバレて怒られるのも怖い)、誰もいないのにミシミシと鳴る階段の音に怯えながら、音量最小限で怖い番組見て、また再び真っ暗な寝室に戻るという恐怖体験をさせてくれた本作は、数ある深夜番組の中でも自分にとってある種特別な存在だった。


制作したのは『恐怖劇場アンバランス』『怪奇大作戦』等で知られる円谷プロ。当時番組を手がけた濱田知彦プロデューサー(円谷プロ)によれば、フジテレビが同年10月から、《JOCX-TV2》*3と銘打った24時間放送を実験的に始めることになり、「何か少ない予算でできる帯番組を」ということで依頼を受け制作したのがこの番組だそうだ。物語に絵と音をつけるだけのシンプルな作りで、脚本は、岸間信明*4をリーダーに、上西研三郎、麻尾るみ子がメインライターとして参加。多摩美大生を中心とした若者達がイラストをつけ(時には演出も兼ねる)、青二プロのベテラン声優陣がラジオドラマ風に声を入れることで、実験的ながら安定した作品に仕上げていた。


イラストは、笠井正俊*5、魚住たけし、貝沼俊之、横山さとこ*6、張露尹の5人がメインで担当(笠井・貝沼両氏は演出の方も手がけることになる)。それぞれ作風が異なり、話と絵の相性により担当者を選び分けたそうだ。他に、版画家で現在は美術評論家として活躍する西岡文彦や、アートよりのマネキンを作る老舗会社“七彩”の藤井秀雪が担当する回もあったという。


声については、青二プロ全面協力の下、多数のベテラン声優陣が参加。家弓家正がオープニングナレーションを担当し、森功至鶴ひろみ、神谷朗、松島みのり山田栄子屋良有作難波圭一塩沢兼人堀秀行ら、当時第一線で活躍してた声優陣が声をあてた。


ちなみに、どんな絵だったかっていうと、こんな絵です。





これが夜中の3時に流れてたんですよ。しかもいまとは違って、深夜3時ともなればほとんどのテレビ番組が終わってるわけで、前の晩、最後に見た番組が他局なら、テレビつけた瞬間「ザーーーーー」ですよ。真夜中に砂嵐にお出迎えされるかもしれないという恐怖を・・・神田さん、イメージできる?(by阿久津真矢)



「ウルトラマンAGE」の記事は全部で4ページしかない。しかし、小さな文字でみっちり書き込まれた情報は読み応え十分。第3話「還らぬ航海」と第26話「赤い花」の誌上再録も行われており、「また見たい!」と思ってる方なら(いるのか?)買って損無し!



濱田知彦プロデューサーはインタビューの最後をこう締めくくる。

この『AM3:00の恐怖』という番組は、深夜枠という過酷な条件の中で、いろいろな方に協力頂き、ある種人材の発掘もできたということで、私としては葬り去りたくない作品ではあるんです。逆にいまこの時代にこそ、『AM3:00の恐怖』みたいな作品が甦る可能性はあると思っています。

このインタビューが行われたのが2002年。もう4年近く前の話。テレビではいまだ復活のきざし見えず、再放送やDVD化が無理なら、せめて同じような番組を作ってくれと思うのだが、なかなかうまくいかない。




・・・と思ってたら、



なんと2005年、OV業界の方で非常によく似た作品が生まれた。それが冒頭で触れた『実録!呪われた心霊体験 怨霊激撮100連発』シリーズ。

実録!呪われた心霊体験 [DVD]

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amazonではシリーズ1作目しか売ってないが、全3作ある(最終巻は今月24日発売)。写真に映った不可解な映像とそれにまつわるエピソードを投稿者の独白形式というか“同封されたお手紙読みました”形式で、1話1,2分のハイペースで紹介*7。その見せ方がよく似てるんだ、『AM3:00の恐怖』に。映像は写真だけで、1枚の写真に寄ったり引いたり、カメラワークだけで見せてゆき*8、ときおり挿入される再現映像も実写の止め絵ばかり。かつてイラストでやってたことをまさに実写に置き換えてやってるという…。そしてナレーションに洋画や海外ドラマの吹き替えでおなじみベテラン声優の谷口節*9や、今野早苗という若いがしっかりした語りの持ち主を配し、正直、音だけでも怪談や都市伝説ものラジオドラマとして十分成立してる(音楽もイイのに。なんでクレジットないんだろう)。この「止め絵とラジオドラマの合体」ってのが肝なのか、紙芝居や絵本で怖い話を聞かせてもらってるような気分にもなり、なんか「モチモチの木」を初めて読んだときのこととか思い出しちゃった。すごいのは、制作時期ほとんど変わらないくせに、2作目で更に見せ方が進化してるんだ。しかも怖い。2作目の方が怖い。これ、3作目どうなっちゃうの? 


構成・演出は『ほん呪』『こっくりさん 日本版』等の坂本一雪(1作目は近藤太と共同)。恐怖写真100連発と平行して進む恐怖のチェーンメモリーカード調査には、『ほん呪』シリーズでおなじみ、金網にはまっても穴に落ちても負けない巨漢ディレクター・横田直幸と長髪のヘビースモーカー・藤(籐?)屋敷隆史らいつもの面々があたっている。特に本作では、藤屋敷氏のキャラ立ちがものすごくて、君らここらでそろそろチーム名つけたらどうだろう。MMR*10、ファーイーストリサーチ社*11亡き後、継げるのは君らしかいない! ちなみに、うちのサイトの右上(プロフィール)にある画像は1作目にて激写されてたコールタールくん(勝手に命名)。あまりのかわいさに私も激写。カントクー、今度は動画映像入手してー!


※各作品の詳細は以下を参照
実録!呪われた心霊体験 怨霊激撮100連発!! ※発売中
実録!呪われた心霊体験2 怨霊激撮100連発!! ※発売中
実録!呪われた心霊体験3 怨霊激撮100連発!! ※3月24日発売




そういえば、、、



NHK-FMのラジオドラマ(サウンド夢工房とか青春アドベンチャーとか)ってまだやってるんだろうか。これも一時期、怖い話ばっかやってた。特に谷山浩子の「悲しみの時計少女」ってのが戦慄だったねー。不思議の国のアリスみたいなファンタジーものと思わせて、実はすべてとあるジンブツの妄想話(?)だったというものごっつ怖いオチ。身震いした。いや、妄想話であること自体は怖くない。その妄想してたジンブツが誰かってのが・・・(ガクガクブルブル)。また聞きたいなあ。CD化されないかなあ。


*1:“ごぜんさんじのきょうふ”と読む。そのため『午前3時の恐怖』というタイトルで記憶してる人の方が多いかも

*2:ちょうど中3の頃か。ちなみに同じCX『やっぱり猫が好き』やテレ朝『プレステージ』は1年後の1988年10月から放送開始。

*3:“女体に描かれた眼ん玉マーク”でおなじみですね。

*4:映画版「ドラえもん」や「HUNTER×HUNTER」の脚本を手がけるなど、現在もアニメの脚本家として活躍

*5:のちに自主映画「プロテインZ」等監督

*6:彼女が担当した第5話「古城の怨霊」は折り紙で作った立体人形を使った作品だったらしい

*7:それと平行し、「もらった人間は13日以内に死ぬ」という恐怖のチェーンメモリーカードの謎を制作スタッフが解明してゆく話が合間合間に挿入される

*8:実は『AM3:00〜』にも1枚の絵にいろいろなものを描き、寄ったり引いたりしてみせる回がある

*9:先週のテレ東「木曜洋画劇場 スパイ・エンジェルグラマー美女軍団」でも主役の悪のボス役の声あててた

*10:かつてノストラダムスの大予言等の調査で少年達の心を虜にしたキバヤシ氏率いるマガジンミステリー調査隊

*11:NTV『特命リサーチ200X』でおなじみ、あらゆる謎を解明する世界有数の民間調査機関