PFF招待『花井さちこの華麗な生涯』&舞台挨拶を観た(@渋谷東急)

7/11(月)夜に上映されたPFF招待作品『花井さちこの華麗な生涯』を観てきました。雨でもないのに85%という驚異的な湿度のおかげで、会場に着く頃には三半規管やられて頭フラフラ。気休めに酔い止め薬飲んで参戦したものの、舞台挨拶なんて聞いたそばから記憶抜けてゆくし、レポは無理無理!と思ったら、さすがPFFさん。公式サイトにレポートを載せてくれたので、興味のある方は↓こちらをどうぞ。


7/11(月)デイリー・レポート 『花井さちこの華麗な生涯』舞台挨拶 ほか(@PFF公式サイト)
PFF招待作品『花井さちこの華麗な生涯』舞台挨拶レポート(@CINEMA TOPICS ONLINE)(←追記)


上のレポートにもあるように、本作を撮った女池充監督はニューヨーク留学中ということで舞台挨拶は欠席。一番の当事者がいないのに私ら何を喋ったらいいんだかと悩んだかどうかはしらないけれど、せっかくだからと皆さん言いたい放題で、終始笑いの絶えない舞台挨拶となりました。


・・・読んだら思い出してきた。書いてないあたりを補足してみます。


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主役の花井さちこを演じた黒田エミさん。撮影に入る1週間前に出演を依頼され、台本を貰ったのは前日だったそうです。いまは格闘家をやっているそうで、リングネームは「稲妻サンダー」。本作の脚本を担当した中野貴雄氏の主催するキャットファイト等にも出たりしてるとのこと。


銃弾を頭に受けて突然頭の良くなった花井さちこに息子の家庭教師をお願いする大学教授を演じた螢雪次朗さん(実物は映画やドラマで観るより全然色っぽくてちょっとビックリ)。ピンク映画にはこれまで百数十本出ているけれど女池監督と組んだのは今回が初めて(?)とか。監督から、滝田洋二郎監督の「痴漢電車シリーズ」のようにアナーキーなコメディがやりたいと言われて引き受けたそうです。


大学教授の妻役で出演している速水今日子さん。ピンク映画はやったこと無かったけれど雪次朗さんの妻役がやれるということで出演をOKしたとのこと。


女池監督から「高校生の役で出て欲しい」と言われたと語った瞬間、会場から爆笑されてたのが松江哲明さん。現在28(27?)歳です(笑)。


前説の笑いのような役で出ただけなので全く思い入れは無いです!ときっぱり言い切る川瀬陽太さん(笑)。壇上から遠くニューヨークにいる女池監督に向かって「充くん、早く帰ってきてー! ぼくらに尻をふかせないで!」と叫んでみたり、近作の紹介で「後藤大輔監督*1のピンク映画で、タイトルは忘れました。たぶん『ナントカ ナントカのナントカ』です!*2」と答えてみせては、話すこと全てがお客さんにウケまくってました。


脚本を担当した中野貴雄さんによると、女池監督はいつも、雨に濡れた子犬のような目でこちらを見上げながらお願いしてくるんだそうです。見た目はふにゃふにゃしているけど、ここぞという時には非常に頼りになる男で、自分の意志をつらぬきとおす。本作にはアメリカの超大物*3が出てくるシーンがあるのだけど、上からは切るように要求され、仕方ないかなと思ったけど、監督は最後まで受け入れなかったとか。



舞台挨拶の司会を務めたPFFディレクター・荒木啓子氏から『花井さちこ〜』を招待作に選んだ理由が補足されました。ドイツの映画祭でたまたま本作を鑑賞し、「映画って何をやってもいいんだ」といたく気に入った荒木氏は、日本での一般公開が決まってないことを知り、「それなら是非PFFで上映してやろう」ということで招待作品に選んだそうです。


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そのドイツの映画祭"NIPPON CONNECTION" *4で『花井さちこ〜』を観たという日本人留学生の感想を見つけました。
 「花井さちこの華麗な生涯」(@Rotkohl)
「ドイツの観客は相当笑ってた」と書かれてありますが、日本の観客も相当笑ってましたよ。


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*『花井さちこ〜』の感想ですが、扱ってる題材はイラク、テロ、エロ、北朝鮮と一見政治的でありながら、小難しさや深刻さの欠片もないエンターテイメント作品に仕上がってました。出演者の方々から「初めて見た時ため息が出た。2回目観た時もため息が出た。3回目はもういいと思ったけど、どうしても知り合いが観たいというので観に行ってようやく面白いと思えた」とか「フランクフルト(ドイツ)でスタンディング・オベーションを受けたって聞いて、(彼らは)何を見たんだろう?と思った」とかひどい言われようだったのでちょっと心配したけど、「出演者の皆さんこそ何を見たんだろう?」と思えるぐらい、終始笑える愛らしいバカ映画でした。ピアノ線が見えたって気にしないような洋モノSFおバカ映画が好きな人には特にオススメ。お色気満載の女家庭教師が、核の恐怖から地球を救う愛と宇宙の物語で、ブッシュ大統領の好演も光ります。田中要次さんがすんごくオイシイ役でチラッと出演。前半テンポ良く飛ばしすぎたせいか、後半やや失速するのが惜しい・・・。客電が着くまで帰っちゃダメです! ちなみに本作はもともと60分の作品で、今回は90分に拡大されたディレクターズカット版だそうです。で、60分バージョンの感想を漁ってみると、なんか同じ映画とは思えないようなダメ出し感想が・・・。あらすじ同じなのに、いったい何が違ったんだろう。。。



それから、観逃してしまった方に朗報。『花井さちこの華麗な生涯』は10月末よりポレポレ東中野にてレイトショー公開されることが決定しました。女池監督の近作『ビタースイート(濃厚不倫 とられた女)』(出演:こなつ、林由美香)との連続上映になるそうです。



【関連記事】
女池監督NYエッセイ(@日本監督協会公式サイト)


*1:だったと思う。たぶん。記憶違いだったらすんません!

*2:ピンク映画のタイトルは『〇〇〇 △△の××』というのが定型で、「〇〇〇」の中に「痴漢電車」とか「団地妻」「家庭教師」なんかが入る。ちなみに『花井さちこ〜』が成人映画館で公開されたときのタイトルは『発情家庭教師 先生の愛汁』です。

*3:華氏911』でワースト主演男優賞に輝いたあの御方です

*4:地元の大学生が企画・主催者となって毎年行っている映画祭。新人監督を中心に話題作も揃えた50本以上の日本映画が、英語またはドイツ語の字幕付きで上映されるそうです。今年は『花井さちこ〜』の他に、『ピンクリボン』『ヴィタール』『ラブキルキル』『インストール』『IZO』『Tokyo Noir』『最後の晩餐』『地獄小僧』『冬の日』『銀のエンゼル』『下妻物語』『プッシーキャット大作戦』等々が上映。