『怪談新耳袋 劇場版』を観た(@渋谷シネ・ラ・セット)

もう上映は終了しちゃったんだけど、最終週に観てきました。客は10人ぐらい。男女半々で30代中心。

怪談新耳袋 劇場版 [DVD]

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映画の詳細は以前の日記を参照。んで、感想。


本数が多いので、2,3本気に入ったのがあればいいかなぐらいの感覚で観に行ったんだけど、予想以上に面白かったです。観たこと無いようなアプローチの作品もあって、特に後半の4本、「姿見」「視線」「約束」「ヒサオ」は無条件に好き。

「夜警の報告書」(吉田秋生 監督)

林泰文の存在が面白さの肝なので、幽霊描写は割とどうでもいい作品。そういう意味では楽しめました。林君はデビューがかの『漂流教室』だったので、頑張ってるのを見ると嬉しかったり。できればあの英語力もどこかで生かして欲しいのだけれど、なかなかそういう作品は巡ってこないですね。竹中直人の顔が一番怖かった。

「残煙」(鈴木浩介 監督)

これは全然ツボが合わなかったです。佐藤康恵の豹変ぶりが「地なのかな?」と思わせて怖かったぐらいで。

「手袋」(佐々木浩久 監督)

ラストに何かひねりがあるのかと思いきや、オーソドックスな話に終始していたことにただただビックリ。なぜ、いまさらこれを題材に選んだんだろう。不思議。

「重いッ!」(鈴木浩介 監督)

これも全然ツボが合わなかったです。「残煙」もダメだったんで、鈴木浩介監督とは根本的に合わないのかも。井上晴美の「うっ、重い!」って演技は良かったけど、北村一輝自体は<怪人>もしくは<メフィスト>系なので、幽霊として出てこられてもそういった怖さは感じないんですよね。『あな隣』みたいな方が合ってると思う。

「姿見」(三宅隆太 監督)

まさかあんなタイミングでこられるとは思わなかったので、完全に一本とられました。CMで散々見せられてたから心構えも出来てたはずなのに…悔しい。あれは「姿(造形)でおどかすわけじゃないから見せても大丈夫だろ」って自信の表れだったのか。

「視線」(豊島圭介 監督)

これは久々に「怖い」と言える作品。実はここに出てくる幽霊(カメラの映像に映り混んだ時の姿が繰り返しみているうちに徐々に変化してくる)って、自分が昔っから好きな幽霊のうちのひとつなんですよ。しかも怪談話で聞いて頭に思い浮かべてたイメージにかなり近い形で再現されてたんでとても怖かったです。誰かに注目されたいっていう乙女心をあんな形で叶えるなんていやらしい…。

「約束」(雨宮慶太 監督)

実は細かい所でどうしてもつっこみたい部分があるんだけど、目をつぶる。だって、念願の<デカイ女幽霊>が見れたんだもん!(嬉) いやー、やっぱいいわ。公園の木陰とか電話ボックスの中とか、もっといろんな所に立たせたい…。なんで需要がないんだろう。このキャラなら恐怖と笑い、どちらに転んでもいけると思うんだけど。<デカイ女幽霊>好きの監督、現れてくれー。

「ヒサオ」(平野俊一 監督)

こういう見せ方もあったのか!って感じですね。烏丸せつこの一人芝居でラストまで見せ抜くんだけど、事態はなだらかに変化し、『二人の王女』のオーディションで「毒」の課題を演じてる北島マヤのような緊迫感を漂わせながら、ラストは寂しく切なく終わる。合間の事故や心霊現象はもう少し抑え目の描写でも良かったかも。全体の雰囲気が良くて、とにかく烏丸せつこが素晴らしかった。


パンフレットはあれで600円は高過ぎなんで買いませんでした。作品のいくつかは、既にテレビで放映されてたようなので、御新規さんへのお披露目が目的だったのかなあ。